三元系(NCM)リチウムイオン電池の特徴とメリット・デメリット
一つ前の世代のポータブル電源で多く採用されていた、三元系(NCM)のリチウムイオン電池の特徴とメリット・デメリットを解説します。
公開日: 2024.7.22
三元系リチウムイオン電池とは?
コバルト系リチウムイオン電池の次の世代にあたるのが三元系リチウムイオン電池で、正極材料にニッケル、マンガン、コバルトの混合化合物 (NMC)を使っているのが特徴です。
コバルト系リチウムイオン電池はと比較して、コストダウンと熱暴走リスクを低減しているリチウムイオン電池で、電気自動車、ハイブリッド車などの車載用電池などにも採用されています。
三元系リチウムイオン電池のメリット
エネルギー密度が高い
三元系リチウムイオン電池は高エネルギー密度と安全性のバランスが取れているため、コバルト系リチウムイオン電池に比較して小型で大出力が可能になりました。
製造コストが低い
三元系リチウムイオン電池は、コバルトの使用量を削減し、ニッケルやマンガンを含むことで、全体的なコストを抑えることが可能に。大容量バッテリーの低価格化を実現することができます。
三元系リチウムイオン電池のデメリット
バッテリーサイクルが短い
現在ポータブル電源のバッテリーとして主流となっているリン酸鉄リチウムイオン電池と比較して、コバルト系・三元系(NCM)のリチウムイオン電池は設計容量の80%を保持できるバッテリーサイクルが、半分以下の800回ほどしかないものがほとんど。
そのため、ある程度の頻度でバッテリーを放充電するとなるとハッテリーが早く劣化していき、5年や10年といった長期間使うことができないケースが出てきます。
熱管理が難しい
三元系リチウムイオン電池は高温や衝撃に弱く、過熱すると火災のリスクがあります。「ポータブル電源を自宅で充電していたら出火した」と言うケースがあるのも、この熱管理が難しいと言うデメリットの結果といえます。
中には、ポータブル電源が出火したことで、家が火事になるケースもあり、そうしたリスクを考えると、今後ポータブル電源を購入するとしたらリン酸鉄リチウムイオン電池が唯一の選択肢と言っても過言ではありません。