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リン酸鉄リチウムイオン電池の特徴と、メリット・デメリット

ポータブル電源で定番の電池なりつつある「リン酸鉄リチウムイオン電池」の特徴と、メリット・デメリットについて解説します。

公開日: 2024.7.18

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リン酸鉄リチウムイオン電池とは?

リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4バッテリー)はリチウムイオン電池の一種です。正極材料にリン酸鉄(LiFePO4)を使用しているのが特徴です。

他のリチウムイオン電池と比べて、優れた安全性と長寿命(バッテリーサイクル)が特徴で、高い安定性と爆発リスクが低い、電気自動車やポータブル電源に多く採用されています。

なぜ注目されているのか?

これまでのリチウムイオン電池は、コバルト系・三元系(NCM)と呼ばれるタイプが主流でしたが、バッテリーの巨大化・大容量化が進むについて、バッテリーの発火や爆発が問題や、劣化や寿命の問題が注目されるようになってきました。

こうした従来のリチウムイオン電池の問題点を解決するために、主に大型バッテリーで採用され始めたのがリン酸鉄リチウムイオン電池というわけです。

リン酸鉄リチウムイオン電池のメリット

安全性が高い

リン酸鉄リチウムイオン電池は、他のリチウムイオン電池と比べて高い熱安定性を持っています。

リチウムイオン電池は、スマホなどの身近なデバイスで多く使われるようにあり、炎天下などの過酷な環境に晒されることも多くなりましたが、リン酸鉄リチウムイオン電池は従来のリチウムイオン電池よりも、過熱や発火のリスクが大幅に低減されます。高温環境で使用する際も、バッテリー性能を維持することができるというメリットもあります。

また、リン酸鉄は化学的に安定していることから、過充電や物理的な衝撃に対しても爆発しにくいという特徴があります。このため、安全性が重要視される用途、例えば住宅用蓄電システムや電気自動車などに広く採用されています。ここ数年でポータブル電源の電池の主流にもなっています。

長寿命

ポータブル電源のジャンルで従来のリチウムイオン電池が問題とされていたのが、バッテリーサイクル寿命の短さ。

コバルト系・三元系(NCM)のリチウムイオン電池は、充電サイクルが1000回あれば良い方でしたが、リン酸鉄リチウムイオン電池は数倍以上となるの4000回程度のバッテリーサイクルで80%の性能を維持できます。

4000回の充放電というと、充電と放電を毎日10年繰り返しても、バッテリー容量の80%を保持できる計算ですから、ポータブル電源のコスパが非常に長くなります。

コスパが高い

リン酸鉄リチウムイオン電池はコバルト系・三元系(NCM)のリチウムイオン電池と比較して、コバルトやニッケルといったレアメタルを使用しないため安価に製造することができます。また、長寿命であるため、長期的にはコスパが高くなります。

特に、ポータブル電源は電池そのものだけでなく、筐体や変換器などのシステム部分にも多くのコストがかかっているため、リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源を選ぶことで、ポータブル電源の頻繁な交換が不要で、総合的なランニングコストを下げることができます。

リン酸鉄リチウムイオン電池のデメリット

エネルギー密度が低い = 重くて大きい

リン酸鉄リチウムイオン電池は、他のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が低い電池です。そのため、同じ容量を得るためにはより大きなサイズが必要となり、製品サイズも大きくなってしまいます。大きくなるということは、重要もアップするため携帯能力が落ちてしまいます。

特にポータブル電源は携帯性も重要な要素になるため、デメリットの一つとなります。

さらに安全な全固体電池の実用化まではリン酸鉄リチウムイオン電池がベスト

トヨタや日産などの大手メーカーが実用化の目処が立っている次世代バッテリー「全固体電池」は、安定生産されるのは2030年頃と見込まれています。日産は「ASSB(編集注:全固体電池)のコストは、2028年度に1kWhあたり75ドル、その後、EVとガソリン車のコストを同等レベルにするため、65ドルまで低減していくことを目指します」と発表をしています1。現在のポータブル電源で1kWhクラスは20万円オーバーが当たり前ですから、大幅なコストダウンが見込まれます。

リン酸鉄リチウムイオン電池は10年ほど持つ計算ですから、今買ったリン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源は、全固体電池のポータブル電源が一般的になることまで十分に持つ計算です。

ポータブル電源の本命は全固体電池と言われてるほどですから、それまでのつなぎとしては、リン酸鉄リチウムイオン電池を選ぶのがベストと言えます。

Footnotes

  1. 全固体電池をわかりやすく解説。従来の電池との違い、トヨタ・日産・ホンダの開発状況