ポータブル電源の寿命を少しでも長くする方法
高価なポータブル電源は、少しでも長く使いたいもの。今回は、ポータブル電源の寿命を決める要因と、少しでも長くする方法を解説します。
公開日: 2024.10.7
ポータブル電源の寿命を決めるもの
バッテリーサイクル
ポータブル電源の中で、劣化することが明確なのがバッテリーです。
バッテリーは「サイクル」と呼ばれる、電池が完全に放電された状態からフル充電し、再び放電するまでの一連のプロセスを経ることで内部的に劣化をします。これは現状のバッテリーが化学反応による蓄電をしている以上、避けられません。
バッテリーがどれくらいで劣化をするかは「充放電サイクルの回数」で表示されます。バッテリーの充放電サイクルは、バッテリーに種類によって異なり、現在市場のポータブル電源ではリチウムイオンバッテリーですが、はリチウムイオンバッテリーにも種類があり、その種類によってバッテリーサイクルが異なります。
リチウムイオンバッテリーで一番サイクル回数が多いのが「リン酸鉄系」で3000回ほど、主に低価格ポータブル電源で採用されている「三元系」は500回程度と言われます。
そのため、「どのバッテリーの種類を採用するポータブル電源か」で、買った時点でポータブル電源の寿命が大きく変わってくることになります。
BMS (Battery Management System)
BMSはポータブル電源の「心臓部」とも言える重要なパーツで、バッテリーを適切に管理するための回路です。
BMSはバッテリーの過充電や過放電を防ぐ役割があ、BMSの質が低いとバッテリーの劣化が早まり寿命が短くなります。つまり、バッテリーサイクルが多いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したポータブル電源でも、BMSの質が低いとスペックのサイクル数をこなす前にバッテリーが劣化してしまうことがあります。
ポータブル電源の難しいのがBMSの品質の指標がないこと。ここは使ってみないとわからないため、実際のユーザーレビューなどを参考にするしかありません。
インバーターの品質
ポータブル電源にはDC(直流)からAC(交流)に変換するインバーターが搭載されています。インバーターの品質が低いと、変換効率が悪くなり無駄なエネルギー消費が増え、結果としてシステム全体の寿命に影響を与えます。
放熱設計
バッテリーにとってトラブルの元は「熱」です。ポータブル電源の内部が高温にならないために、適切な冷却システムや放熱設計がされている必要がありますが、それが不十分だとバッテリーや内部回路が早く劣化します。
特に注意したいのが、
- 大容量なのにコンパクト
- ハイパワーなのに静音
- ファンレスポータブル電源
というポイント。筐体が小さいということは熱がこもることになりますし、ハイパワーなのに静音を売りにしているということは、無理にファンを回さないように設計されている可能性があります。同様にファンレスのポータブル電源も注意が必要です。
こうした内部に熱が異常に溜まりやすいポータブル電源は、設計よりも早くバッテリーが劣化する可能性があるだけでなく、バッテリーの異常発熱による火災の原因にもなり得ます。
ポータブル電源の寿命を長くする方法
一番は「品質の高いメーカーの製品を買う」こと
ここまでみてきた通り、ポータブル電源の寿命を伸ばすためにユーザーでできることは多くありません。逆に言えば、「買ってきた時点で大おまな寿命が決まる」と言っても過言ではないでしょう。
いくらリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源でも、BMSの品質や放熱構造がしっかりしていなければ、設計よりも先にバッテリーの寿命が来てしまいます。BMSや放熱設計がしっかりしていても、三元系理知ウムイオンバッテリーを採用していたら、リン酸鉄系ほどのサイクル回数はこなせません。
この辺りは、ポータブル電源を「多く、長く」製造・販売しているメーカーの方が、技術力や経験の面、そしてコスト面で優位と言えます。
では、「品質の高いメーカー」はどうやって見分けるかというと、製品の保証期間の長さが一番わかりやすい指標でしょう。一般的な1年の保証ではなく、3年、5年と長い保証期間を設定しているメーカーは、それだけ自社製品に自信があるということですから、ポータブル電源の寿命も長いとみて良いかと思います。
充放電の仕方を工夫する
ポータブル電源の寿命を伸ばすためにユーザーができる数少ないことの一つが、充放電の工夫です。
リチウムイオンバッテリーは、「完全放電」「満充電」時にバッテリーの劣化が進みやすいとされています。そのため、ポータブル電源は「10〜90%程度の充電状態で使うのがベスト」と言われます。
大事なのは「満充電や完全放電をすること」ではなく「その状態で放置すること」なので、使わない時は、
- 50%程度の充電状態で保管
- 最低でも半年に一回は充電をする
というケアをすることで、ポータブル電源のバッテリーの劣化を防ぐことができます。
また、急速充電・急速放電はバッテリー内部に熱を溜める原因になるので、なるべくやらないようにしましょう。
加熱を防ぐ
リチウムイオンバッテリーは熱に弱いバッテリーなので、ポータブル電源をなるべく加熱させないというのも重要です。
真夏の車内に放置したり、直射日光が当たるところに置いたりすると、想定以上にポータブル電源が加熱してしまうこともあるため、なるべく高熱にならないように配慮をしましょう。