ポータブル電源は何%まで充電して何%まで使うのが一番劣化が少ない?
ポータブル電源を長く使う上で重要なのが、「充放電の運用」。ポータブルは何%まで充電して、どれくらいまで使うのが一番劣化が少ないのか解説します。
公開日: 2024.6.2
20〜80%以内で運用するのがベスト
ポータブル電源のバッテリーの劣化を最小限に抑えるために、リチウムイオンバッテリーは中間の充電状態(20%から80%)で運用するの良いと言われています。
この範囲での充放電は、電極材料にかかるストレスが少なく、固体電解質界面(SEI)層の劣化も抑えられるため、バッテリーの寿命を延ばすことができると言われるためです。
なぜポータブル電源は満充電すると劣化が進むのか?
高電圧による電極材料が劣化する
リチウムイオンバッテリーの電圧は充電状態に応じて変化します。
充電が進むとバッテリー内部の電圧が高くなり、特に80%を超えると電圧の上昇が急激になります。高電圧状態では、バッテリー内部の化学反応が活発になり、電極材料の劣化が進行しやすくなります。
電極材料のストレス
バッテリーの充電中は、バッテリー内部のリチウムイオンはプラス極からマイナス極へ移動し、電極材料にリチウムイオンが挿入されます。
高い充電状態では、リチウムイオンの挿入が過剰になり、電極材料にストレスがかかり、微小なひび割れや劣化が発生しやすくなり、バッテリーの劣化の原因となります。
固体電解質界面(SEI)層の形成と劣化
リチウムイオンバッテリーのマイナス極には、充電時に固体電解質界面(SEI)層が形成されます。
このSEI層はバッテリーの安定性に重要ですが、高い充電電圧ではSEI層の形成が過剰になりやすく、劣化が進行しやすくなります。
なぜポータブル電源は完全放電は劣化を進めるのか?
内部の化学反応の変化
リチウムイオン電池は、適度な電圧を維持することで安定した状態を保ちます。完全に放電されると、内部の化学構造が変化し、バッテリーの容量の低下につながります。
セルの不均衡が発生する
バッテリーは複数のセルで構成されており、完全放電によってセル間のバランスが崩れることがあります。このバランスの崩れが、バッテリー全体の劣化を促進します。
過放電保護回路の誤作動
多くのポータブル電源には過放電を防ぐための保護回路が搭載されていますが、完全放電が頻繁に起こると、この保護回路が適切に機能しなくなり、バッテリーの劣化や機能の不具合を発生させる可能性があります。
急速充電もバッテリーの劣化を引き起こす
急速充電すると熱が発生する
ポータブル電源を高速で充電すると、バッテリー内部で熱が発生します。
高温状態になるとバッテリーの化学反応を加速させ、劣化を促進します。特に、高い充電状態での高温は電極材料の劣化を加速させると言われます
リチウムイオンの分布が不均一になる
急速充電では、リチウムイオンが電極材料が不均一になることがあります。この不均一なリチウムイオンの分布は、局所的なストレスや劣化を引き起こしやすくなります。